秋の夜長に映画でも・・・という人は多いと思います。
最近は特に週末が台風で全滅というのも続いてますし、
私もベッドに転がって家のYouTubeテレビ(YouTube並に画面が小さい)でチマチマ鑑賞しています。

映画業界に少しでもお世話になっている身であれば、できれば全部劇場で見たいところですが、
現実的なところ時間もお金もないですし、
私は特にDVDスルーとなるB級コメディが大好物という趣味嗜好の問題もあって、
渋谷TSUTAYA様様となる場合が多いです。

さて、今日は最近見たDVDのお話です。
タイトルは『ドリンキング・バディーズ 飲み友以上、恋人未満の甘い方程式』(原題:Driking Buddies)。
長い副題が映画の内容を8割説明してくれてますが、
二組のカップルを主人公とした、「男と女の友情って成立するの?」というテーマを扱ったラブコメです。

ストーリーはものすごくヒネりが効いているわけでも、
この編集ヤバイ!音楽カッケー!というわけでもなく、
普通に見ると「まぁまぁ面白いアメリカ映画よね」という感想しか引き出せない作品なんですが、
実はこの作品の突出したところはその演出方法。
なんと劇中でしゃべっているセリフのほとんどがアドリブなのです。



監督はジョー・スワンバーグという若手で、自分自身も役者として活動している33歳。
なんでも「こういう流れの話ですんで、中身は即興でヨロシク!」という演出方法がお得意らしく、
その手法は本作でも炸裂。
そしてこの「ほぼ丸投げ」演出に、主要キャスト4名が見事に答えています。

たいして可愛いかないけど、その演技力と歌唱力はお墨付きのアナ・ケンドリックに、
Over30女子なら「『セックス・アンド・ザ・シティ』でキャリーをポストイットでフッた男」と言えばほとんどわかる(と思う)ロン・リヴィングストン、
TVドラマ「New Girl/ダサかわ女子と三銃士」のジェイク・ジョンソン、
そしてハリウッド注目株のオリヴィア・ワイルドが、
自身の経験も交えながら役を作り、自然体(アドリブなんで当たり前だけど)のセリフをぽんぽんつないでいきます。

特にオリヴィア・ワイルドの"ナチュラル・ビッチ"ぶりは驚愕。
彼女が演じているのは、ビール工場で働く紅一点の女子社員。
男勝りの性格で、仕事終わりにみんなでバーに出かけてビリヤードしてバカ話するのが大好き。
サバサバした性格だから男友達も多いけど、でも家にはしっかり年上の恋人がいて・・・。

このオリヴィア・ワイルドが、
男友達になんとなく甘えるところ、「あたし今夜OKだよ~ん」と言わなくてもシグナルを送る仕草、言葉、
「あれ、ちょっと彼に魅かれてるかも・・・」という時に見せる表情が、
「おまえほんとにそれアドリブかよ!?」と突っ込みたくなるほど、完璧なんですよね。
こんな女子周りにいたら怖いわ~これこそホントの肉食だわ~という感じ。

↑ 劇中のオリヴィア・ワイルドとジェイク・ジョンソン。こう見えてこの二人は「友達同士」という設定。
いつも思うけど、欧米の男女友達の距離って日本のそれより3倍ぐらい近い。


現在30歳のオリヴィア・ジョンソンは、医療TVドラマ「HOUSE」でブレイクし、
その後近未来SF映画『トロン:レガシー』でヒロインに抜擢されてから、ハリウッドで注目の若手に。
キッツい顔にハスキーボイスと、今いる女優の中では珍しい特徴をしていますが、
それが買われたのが「HOUSE」の前に出演した青春TVドラマ「The OC」。
ここで、主人公ミーシャ・バートンが同性愛者になった際のバイセクシャルの恋人を演じ、
視聴者に「お?」と印象付けました(私もその一人)。

映画出演作は増えていますが、今もテレビ作品にちょこちょこゲスト出演しており、
古巣への恩は忘れていないようです。
というか、彼女の演技力の根底は、地道に続けてきたTVドラマでの経験。
こういう女優さんを見ると、アメリカの芸能界の土壌の深さ、
各俳優さんたちが行うスキルの鍛錬に、毎回驚嘆します。

劇中ほっとんどビール飲み続けてるのに、エンピツみたいに細いオリヴィア・ワイルド。
最後まで完璧すぎ!(でも憎めない)